toppage2012年度BAMIS学内公募研究中高齢者の有酸素性運動トレーニングが一過性運動後の脳血流動態に及ぼす影響

中高齢者の有酸素性運動トレーニングが一過性運動後の脳血流動態に及ぼす影響

体育系 准教授 前田清司

【研究の全体像】
我が国では、高齢化に伴い要介護者が増加し続けている。要介護となる主な原因は、脳卒中や認知症などの脳血管障害に関連する疾患が約半数を占める。特に、認知症患者は現在の200万人から2040年にはおよそ2倍の400万人になると推察されている。これらのことから、今後、増加し続ける脳血管障害を予防して、中高齢者の心身の向上を図ることは重要な課題であると考えられる。
脳の血管は、他の臓器と比べて血管抵抗や血流の拍動が低く、脳に供給される血流が維持される仕組みになっている。脳血流の低下は神経変性、細胞死、脳萎縮を引き起こす要因となり、一方で脳血流拍動性の増加は脳の微小血管を損傷させる要因となる。すなわち、脳血流の低下や脳血流拍動性の増加などの脳血流動態の変化は脳血管障害の危険因子となる。これまでに、我々は中高齢者における有酸素性運動トレーニングが安静時の脳血流速度を増大させることを明らかにした(Akazawa et al., Arte Res 2012、2010年度BAMISプロジェクト)。このようなトレーニングによる適応は、継続的な運動を繰り返すことによる適応と考えられるが、一過性の運動が脳血流動態に及ぼす影響は明らかにされていない。近年、脳血流拍動性は全身の動脈スティフネスと関連することが報告された(Xu et al., Am J Hypertens 2012)。高齢者において、動脈スティフネスは有酸素性運動トレーニング後の一過性の有酸素性運動により低下する(Maeda et al., Hypertens Res 2008)。これらのことから、有酸素性運動トレーニング後における一過性の有酸素性運動により、脳血流拍動性は低下する可能性が考えられるが、有酸素性運動トレーニングが一過性の有酸素性運動後の脳血流動態に及ぼす影響は明らかになっていない。本研究では、脳血流の拍動性に着目し、中高齢者における有酸素性運動トレーニングが一過性運動による脳血流拍動性の応答を亢進させるか否かを検討した。
【研究目的】
本研究の目的は、中高齢者における有酸素性運動トレーニングが一過性運動による脳血流動態の応答に及ぼす影響を検討することを目的とした。

2012BAMIS成果報告書(前田清司).pdf

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2013-04-12

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