toppage武道及び身体技法研究酒井准教授、Hungarian Sports Science Association主催シンポジウムで招待講演
武道研究グループの代表である酒井は、10月20日、ハンガリーのブダペストで開催されたHungarian Sports Science Association が主催するシンポジウムにおいて、”Body and Mind Integration in Budo” と題する講演を行ってきました。
このシンポジウムは、"Sports Otherwise - Innovational thinking in Sport"というテーマを掲げ、主にハンガリー国内からスポーツ関係者のみならず経済学や医学等々の様々な分野において注目される研究者をスピーカーとして招き、国家スポーツにかかわる人たちが議論を重ねようとするものです。
そもそもハンガリーは、国策として日本武道を青少年の育成に役立てようとする動きがあるなど、武道の精神面にかかわる特性に非常に高い関心をもっています。このことは、今回、国外からの招待は武道における身心統合に関する講演を依頼された酒井だけであり、講演時間も他より長く設定されていたことなどからも窺われます。
発表内容は、武道の歴史を大まかに概観したうえで、特に日本武道が700年以上にわたって培ってきた心身関係論に焦点をあて、近世において二つの全く異なった精神性(①敵と対したときの心と②倫理道徳的な心)が問題とされてきたことを指摘しました。そしてこれが近代以降、嘉納治五郎の尽力もあって②倫理道徳的な精神性に特化して教育現場に根付いてきたこと、そして現代にあってはもう一つの①敵と対したときの心が現代的に焼き直され、日本社会が抱える諸問題を乗り越える、あるいは国際社会でたくましく活躍するためのタフな心として注目されていることを紹介しました。
講演後、主催者側の総責任者であるGyörfi János 氏から内容を絶賛する賛辞をいただいたほか、多くの方々から興味を持っていただいた一方、心と身体の統合については理解できないといった率直な意見も直接いただきました。デカルト以来の身心二元論を思考ベースとするヨーロッパならではの反応でもあり、BAMISが標榜する身心統合科学が欧州において面白い議論を展開する可能性を予感させるものでした。
(文責:酒井)