toppage武道及び身体技法研究オリンピック教育国際シンポジウム2011の報告
12月4日(日)に国立スポーツ科学センター(JISS)において、筑波大学(オリンピック教育プラットフォーム、身心統合スポーツ科学センター)と日本オリンピック・アカデミーによる共催で「オリンピック教育国際シンポジウム2011」が行われました。
文部科学省の次の方々によるオリンピック教育(オリンピック・ムーブメントの理念をもとに進める心身育成と国際理解教育)の紹介がなされました。
シンガポール:Sock Miang TEO KOH博士 (国立南洋理工大学准教授)
タイ: Wimonmas PRACHAKUL博士(カセサート大学講師)
台湾: Li-Hong HSU博士 (大葉大学)
韓国: Gwang OK博士 (忠北大学校)
日本: 中塚義実 教諭 (筑波大学附属高校)
外国のゲストたちは、それぞれの国で工夫されたオリンピック教育を紹介されました。 シンガポールのTeo Koh博士は、ユースオリンピックゲームズ(YOG)の開催が決まる以前からオリンピック教育プログラムを大学と連係して開発し、その延長でYOGにおいて先進的なオリンピック教育・文化プログラムが実施できたことを紹介されました。
タイのPrachakul博士は、タイ・オリンピック・アカデミーと連係して、大学生や大学院生対象のオリンピック教育を行っていて、そこでは、オリンピック・ムーブメントや社会におけるスポーツの役割、フェアプレイの観念やアンチ・ドーピング教育等について学ぶ場となっているとのことでした。
台湾のHsu博士は、大学でのオリンピック教育の展開を通して、オリンピックの持つ問題点など、批判的な内容も重要であることを示すとともに、アジアにおけるオリンピック教育の共通カリキュラムを作成したいと発表されました。
韓国のOk博士は、ピョンチャン冬季オリンピック競技会の開催に向けて、オリンピック・ムーブメントを広めるためにもオリンピックの教育的展開が重要であり、今後大学等が関わっていくことを話されました。
筑波大学附属高校の中塚教諭は、同校で展開されているオリンピック教育を紹介し、欧米一辺倒ではない、アジア独自のオリンピック教育、例えば嘉納治五郎先生の教えを加味した内容を考えるべきではと提案、文武両道や心技体など、アジア的な視点でのオリンピック教育の内容を継続的に検討していこうという結論になりました。
ゲストの方々は、次回、附属学校におけるオリンピック教育を見学したい、と表明されました。なおコーディネーターは、真田久(筑波大学教授)と、田中暢子氏(ラフバラ大学大学院)が務めました。
午前中に行われた附属高校の生徒(2年生星野慧さん)による北京での国際クーベルタン・ユースフォーラム参加報告では、海外の高校生とオリンピックをキーワードに交流したことで、オリンピック・ムーブメントに関心を持ち、将来、そうした勉強をしながらオリンピックに関わっていきたいと発言されていました。
文部科学省スポーツ・青少年局 競技スポーツ課課長の杉浦久弘氏やJOC副会長福田富昭氏はじめ、筑波大学関係者や日本オリンピック・アカデミー会員など100名を超える方が参加されました。国際オリンピック委員会J.ロゲ会長や国際オリンピック・アカデミー I.クーベロス会長からは、アジアにおけるオリンピック教育の発展に期待する旨のメッセージが寄せられました。