toppage2012年度BAMIS学内公募研究運動遊具の特性と子どもの自発的な動きの関連性~遊び方が決まっていない遊具biliboは子どもからどのような動きを引き出すのか?~
体育系 特任助教 古屋 朝映子
文部科学省が策定した幼児期運動指針(文部科学省,2012)でも言及されているように,幼児期における運動は,主体的な遊戯遊び形態(以下,運動遊びとする)であることが重要であり,そのためは環境の構成に対する工夫の必要性がある.しかし,現在行われている運動遊びは,「何かを指導する」プログラムが多いのが現状である.
「幼児が自発的に体を動かしたくなる環境」を実現するには,運動遊具は大切な役割を担っている. 遊具に関する先行研究(高橋,2005)では,幼児が自発的に様々な運動遊びを展開するためには,運動遊具の条件として,適度のリスクを備えていること,多様な遊びを展開できることを挙げている.筆者は,「適度のリスク」は運動遊具の不安定性(=アンバランス)にあると考え,遊び方が決まっておらず,多様な用具特性を持つ「バランス遊具」である,ビリボ(MOLUK社,スイス)に着目した(写真1参照).ビリボは,高密度ポリエチレン製の遊具で,耐加重100kgのため,中に入ったり上に乗ったりと,様々な遊びを展開できる.また最大の特徴は,取り扱い説明書等で遊び方を限定しておらず,使用者自らが使用方法を創造することを重視しているところである.
本研究では,幼稚園(5歳児クラス)を対象として,できるだけ一斉指導を行なわない形式でビリボを使用した運動遊びを実践し,幼児が好む運動内容の傾向を明らかにすることで,幼児が自発的に行う運動遊びプログラム構築のための基礎的資料を得ること研究目的とした.