toppage2010年度BAMIS学内研究
吉田美和子,清水諭
(人間総合科学研究科 ヒューマン・ケア科学専攻)
近年自閉症者のナラティブ研究により,運動・感覚面の課題やこれに伴うボディイメージ形成の難しさが,単なる身体面の困難に留まら
ず,認知・心理面に著しい影響を及ぼすことが,「自閉症」を生きる本人の経験として明らかになってきている。本研究は,これまでのナラティ
ブ研究から運動・感覚やボディイメージに関わる記述を抽出,質的分析によって主体として自閉症児・者自身が必要とする支援を検討すると
ともに,その具体的な身体的アプローチとして,ボディイメージの発達を促すために必要な「動きの経験」をもたらすボディワーク実践の可
能性を検討する。
井出幸二郎,遠藤卓郎,西保岳,坂入洋右,征矢英昭
(人間総合科学研究科 体育科学専攻)
身体的・知的パフォーマンスに影響を与える因子である注意機能は,過度の緊張や精神的ストレスにより低下する。ヨガや座禅などの呼吸
法はストレス軽減効果があるとされ用いられてきたが,科学的検証が必要である。本研究では短時間律動的呼吸運動が注意機能に与える影
響を検討した。対象者は男子学生12名とし,カラーワードストループ課題を呼吸運動前後に行った。呼吸運動は,吸息・呼息期間を5秒間,10
秒間のリズムにより10分間行った。10分間の自然呼吸を比較対照とした。自然呼吸前後では差はなかったが,律動的呼吸運動後にストルー
プ課題の反応時間が短縮した。ストレスマネージメント法として短時間の簡単な呼吸運動が有効かもしれない。
鈴木健嗣
(システム情報工学研究科 知能機能システム専攻)
本講演では,体育・工学分野との連携として,身心統合スポーツ科学における認知工学分野が果たす役割について概説する。特に,運動・認
知・情動状態の計測と提示を目指し,人間の運動・生理状態を電気生理学的手法に基づき体表で計測するとともに,視聴覚刺激を通じて提示
する新しい「拡張生体技術」及び装着型デバイスの開発について紹介する。ここでは,筋活動・心拍・表情表出の計測・提示に関する取り組みに
ついて述べ,身心統合からみた運動実践,運動と情動,運動と認知に関わる工学的研究の事例とともに,これらを身心統合スポーツ科学へ応
用する試みについてもあわせて紹介する。
大藏倫博,三ッ石泰大,鈴木梢子,尹智暎,角田憲治,辻大士,武田文,田中喜代次
(人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻)
従来,体育科学的研究の分野では,高齢者の介護予防効果を体力面から明らかにした研究は多くなされてきたが,「心と体と社会との関わ
り」に焦点化した実践的疫学(コホート介入)研究は皆無に等しかった。本プロジェクトでは,運動が持つ特長を生かした包括的な介護予防支
援システムの構築および普及を目指した。その中で,運動指導を主目的としたボランティア活動を通じて社会参加することが,高齢者自身の
生活機能に与える影響を総合的に検討した。本発表会では,体力,認知機能,神経科学的検査による脳機能状態,心理状態(抑うつ),ソーシャ
ルネットワーク,社会環境資源(ソーシャルキャピタル)等の側面から,その成果について報告する。
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